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2019.09.02

「とんかつ とんき 目黒本店」老舗のオペレーション

 目黒でとんかつと言えばこの店、と言うくらい有名な「とんき 目黒本店」
 1939年(昭和14年)創業というから今年で80年。老舗中の老舗だ。また本店を名乗るだけあって暖簾分け店も数多く存在する。(東高円寺・駒込など都内だけでも10店を越えるそう)

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 目黒駅西口から徒歩3分。16時の開店時間を10分ほど過ぎて着いてみると、行列も店内待ちもなし。1階はコの字型カウンターのみ30席。さすが人気店、この時間でも8割方がすでに埋まっている。
 その厨房はサラシで、いわゆる劇場型。中の様子が全て見えるようになっている。

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 素木(白木)のカウンター、広い厨房の床は全て板張り(スノコ状に組まれた板材を敷き詰めている)で清潔。清掃が行き届いているのがよく判る。その厨房には男性スタッフばかり7人。未だに徒弟制度? 修業10年の暖簾分け方式を採用しているらしい。(店内の画像は店のSNSから拝借したもの)

 その7人のうち2人は70代、1人が60代、残り4人は 30から40代に見える。分業制で衣付けの係り、揚げから包丁入れの係、キャベツ等の盛付けの係、ご飯みそ汁(豚汁)を用意する係、コンシェルジュ兼テーブルウォッチャー兼キャベツお代わり係みたいに役割が分かれている。どうやら客が入ってきた順番、中待ち席も含めた着座位置、注文を全て覚えているみたいだ。凄い。

 60代の大将風おじさんに促され、運よく入口近くの揚げ場が見える位置に着席。メニューはロースかつ、ヒレかつ、串かつの各定食と単品のみという潔(いさぎよ)さ。ビールとロースかつ定食をお願いしてお待ち。

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 まもなく「ビール 600円」が登場。ツマミに南京豆が添えられているのがうれしい。調味料は天板上の一味唐辛子とソースのみ。

 ビールを飲みつつ各担当者の作業というかオペレーションを拝見。すぐそばでは肉へのコロモ付けの作業。担当は70代と思われるおじさん。小麦粉付け・溶き卵液浸けの工程をリズミカルに三度繰り返しパン粉の中へ。衣を付け終わると、同じおじさんが五つ並んだ(ドラム缶の直系ほどもあろうかという)大きな揚げ鍋に投入。


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 一つの大鍋に何枚とんかつを入れるのかは判らないが、最初の鍋に一定量を入れたと見るや二番目の鍋、そこもいっぱいになると三番目の鍋と順に投入してゆく。油の温度が下がってしまわぬよう、そして注文が滞らぬよう大きな鍋を五つも使っているのだと判る。油はラード 100%だそう。

 揚げと包丁入れ(とんかつを切る)の係りは同じ人。見ていると時間を計っているわけでもジッと凝視しているわけでもなく、感覚で?鍋から上げているようだ。というか、とんかつが揚がり始めてからは、一人で包丁を入れキャベツがセットされている皿に盛り付けるのに忙しく、揚がり具合など確かめているヒマなどないように見える。ちょっと嫌な予感。

 奥の方では次から次へと皿にキャベツが盛り付けられ、ご飯とみそ汁の係りはとんかつの出来上がりに合わせ、タイミングよく提供してゆく。
 そうして着席から 25分。そんなオペレーションを感心しながら観ているうちにご提供。

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 「ロースかつ定食 1,900円」
 なんというかド昭和のとんかつ。何故か右ハジにチョコっとだけソース。薄めの衣はキツネ色というより濃い焦げ茶色。見事に揚がったとんかつと、メチャクチャ細い千切りのキャベツ(機械切りらしい)。バラ肉が沢山入っているのがよく判る豚汁と炊き立てと思われるご飯。

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 縦横に切られたロースかつ。こうすると衣がバレてしまうのですよね。でも ひと口サイズだから食べやすい、上アゴの粘膜を傷つけにくいという利点も捨てがたい。

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 右から二番目を返してみると、こんな感じ。ほんのりピンク色みたいな部分は全くなく見事に火が入った白。これは確かにドバッとソースをかけて食べるのが正解でしょう。

 実際食べて見るとカリッというよりガリっに近い衣とキッチリ歯応えのある肉がお出迎え。硬派なとんかつと言うか・・・嫌な予感が当たってしまったか。
 人気店なのだから常にこんな感じとは思いにくいので、たぶんブレというかタイミングなのではないかと・・・。

 極細切りのキャベツとご飯がやたら旨い。ご飯は一度、キャベツは二度お代わりをしてしまった。そしてバラ肉が沢山入った豚汁が秀逸。味噌汁には違いないのだけど、あまり味噌が強くなく、塩ベース?みたいなアッサリ味。これもお代わり。
 そうそう、このお代わりはテーブルウォッチャー役のおじさんが目ざとく見つけて声をかけてくれるので「お願いします」というだけ。

 ご馳走様。お腹いっぱいになって店を出た。今日のとんかつ自体には疑問符が付くのだけど、なんとなく不思議な満足感が残ったのは、この店全体が醸し出す私の時代、ド昭和な雰囲気のせいだろうか。

 一度は行ってみる価値のあるお店です。2階はテーブル席と座敷席で予約も可能だそう。でも初めてこの店に行くのなら是非1階の「とんき劇場」へ行ってみて下さいね・・・。

◆とんかつ とんき 目黒本店
 https://twitter.com/tonkatsu_tonki_
 目黒区下目黒1-1-2 最寄駅:目黒
 16:00-22:45 火休・第3月休(他に盆暮れ年始)

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