「ぽん多 本家@御徒町」の カツレツ
この店もまた「東京とんかつ会議」の殿堂入り店であるほか、「食べログのとんかつ百名店」であり、さらにミシュランのビブグルマンにも掲載されているという店。
「ぽん多 本家」 夜の部は 16:30の開店。JR御徒町駅からは徒歩2分の距離にある。開店時間に合わせて出かけてみると、この時間帯には行列なし。
看板(左の画像)にあるように、明治38年(1905年)創業だそうだから、今年でなんと 114年。先日の「井泉 本店」が 1930年創業だったから、それより25年も前から営業していることになる。まさに老舗中の老舗だ。
定刻に開店。重厚なドアを押し開けると1階にはカウンターが 4席だけ。他は2階テーブル席、3階に個室(座敷)があるようだ。
厨房内が見える端っこに座るとスタッフのおじさんが、すかさずメニューとお茶を出してくれる。
食事のメニューを眺めると、この店がいわゆる「とんかつ専門店」ではなく、洋食店であることが判る。そしてそれぞれの値段も凄い。街の洋食店とは一線を画しますな。
実はメニューを見ずとも注文は「カツレツ」に決まっている。それを先ほどのおじさんに告げると、ほどなく厨房内で肉を叩く音が聞こえる。手元までは見えないのが、ちょっともどかしいが、しばらくすると丁寧に衣をつけ、肉を鍋に滑り込ませる所作。
奥からはキャベツを刻んでいると思われるリズミカルなトントンという音。
低温でじっくり揚げているからか、油の中で水分が爆ぜるパチパチという音が殆ど聞こえない。
ちなみにこの油、実際に豚肉から削ぎ落とした脂身を細かく刻んでラードにしたものだそうだ。だとすると、もの凄く手間がかかっている。そしてこのラードが微妙なコクを与えるのだとか。
「カツレツ 2,700円+ご飯セット 540円」 計 3,240円也。
私的とんかつ世界の中で最高値になる(^^; ご飯セットと書いたのは、ご飯と赤だし、お新香のこと。
ロースかつでもヒレかつでもない明治からの伝統、カツレツというメニュー名もこの店ならではだろう。
ご覧ください、この衣の色。割りと粗目のパン粉が薄いキツネ色に揚がっていて、どこにも破たんが無い。縦横の十字にカットされているのもこの店の特徴の一つ。ひと口で食べられるサイズということらしい。
そうして肉の方は中心部だけでなく全体が薄いピンク色。これ大変に難しい職人技なのだそうだ。例によって何もつけずにひと口。
粗目のパン粉なのに、抵抗らしい抵抗もなくサクッ。そうして柔らかな肉からは、上質な肉汁がじわり。うわぁ、旨い。豚肉の旨みとはこういうのを言うのかと改めて思わせられる味、食感。
そして先日の「井泉」同様、きれいに脂身を除去しているというのに、この甘み。
特に銘柄豚を使っているようなことは謳っていないものの、かなり優良な豚肉であろうことは伝わってくる。
惜しむらくは、脂身ストの私としてはだけど、それでもやっぱりこの肉に付いていたはずの脂身も味わってみたかったなと。
最初のふた切れ以外は、全部塩とカラシで頂いた。この塩、普通のアジシオ風に見えるけど、かなり目の細かい塩だった。何か特別なものなのかもしれない。
卓上にあるこの店特製だというウスターソースはパッと見 醤油と見まがうほどサラッとした辛めのもので私的には日光の手前。
あとカツレツの右上にチラリと見える丸い小さなヤツは、ジャガイモのフライ。この食感もまた素晴らしく、嬉しいミニサプライズになっていた。
夜の部開始直後ということもあり、ご飯は炊きたてなのだろう。ナメコの赤だしも美味しいし、お新香の塩気酸味(塩梅というヤツ)も好ましい。
そうそうキャベツ。量は少ないけど直前にカットされたものなので、みずみずしいことこの上ない。
全てをきれいに食べ終わって、お会計。ご馳走様でしたと店を出た。
店内の清潔感、雰囲気を含め、多くの食通を唸らせるだけのことはあるお店だと思った。でもこの値段だ。そうそう来られるとこではないので、しっかり記憶に留めておこうと思う。
◇ぽん多 本家
http://osietesite.com/gourmet/tokyo/wasyoku/tonkatu/pontahonke
台東区上野3-23-3 最寄駅:御徒町
11:00-13:45 16:30-19:45 日祝の夜の部 16:00-19:45
月曜休(祝日の場合火曜)明治38年(1905年)創業
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