「ラーメンダイニング 五行」と言えば、あの河原成美氏による「一風堂」の別ブランドとして有名だ。
ラーメンダイニングという名のとおり、麺酒家をコンセプトにした、そして「一風堂」とは一線を画した格調高い店作りが印象的でもある。
「五行」とは「万物は木・火・土・金・水の 五種類の元素から成る」という中国発祥の思想に由来するものだそうだけど、これをラーメンに置き換えると、例えば「ダシ、タレ、麺、具、心」の5つとか。まぁこれは私の勝手な当て推量で、本当はもっと深遠なところにあるのかもしれない(^^ゞ。
そんな「五行」がと言うか当時「一風堂」の河原成美氏が、2001年から始めた「四季のラーメン」は、年に2~3回、その時々の旬の素材を使って、氏自らが創作する渾身の一杯なのだそうだ。しかも全国に5つある「五行」のどこかの店でのみ開かれるという、いわゆるレアなイベントになっている。
そんなイベントに運良く塩哲さんが予約を取ってくれた。
銀座2丁目ベルビアビルの7Fにある格調高い店の前に着いたのは、待ち合わせ時間の19時少し前。店の前には行列ができていて、既に塩哲さんとたけぞうさんが先着して待っていてくれた。
今回は予約用に100杯、当日用に100杯の計200杯が用意されたのだけど、予約はすぐに一杯。当日分も開店時間の18時過ぎ頃には完売してしまっていたようだ。
ちょうど店の前には河原氏がいて、ご挨拶することができた。TVなどマスコミに露出する機会が多い氏は有名人でもある。かくいう私もナマ河原氏を見るのは、これでようやく二度目だ。
間もなく入店して着席。内装も格調高いけど、見てくださいこのお箸。これだけでもカッコイイよね。店内にはたくさんのスタッフがキビキビと立ち働いている。聞くと各地の「一風堂」や「五行」の支店から支店長クラスが10数人、応援に駆けつけているそうだ。 にも拘わらず、さきほどまで入り口のところにいたはずの河原氏が、自らフロアを担当して水やラーメンを運んでいたりする。こういうところにもご人徳が現れるのだろう、さすがカリスマと言われる人物である。
「四季のラーメン 1,500円」
今回で14作目になるというこのラーメンのテーマは、「アラ燻薫(あらくんくん)」。この「アラ」は漢字で魚ヘンに荒と書き、関東では「クエ」という魚のことだそうだ。次の「燻」は燻製の燻で、最後の「薫」はかおるという意味。
つまり「アラ(クエ)」でダシをとったスープに、旬の魚「クエの燻製」と、まさに旬「焼きマツタケ」が薫るというわけだ。
この素晴らしい清湯スープを見て下さい。上品な塩ベースのスープは味も薄め。でも、しっかり旨みを感じる。クエで潮汁を作り、そこに平戸の焼きアゴ、帆立貝柱、げんこつなどから取られたダシを加えているそうだ。
トッピングは「クエの燻製」と「焼きマツタケ」の他に、左上に見えるのはゴーヤとくずの磯辺揚げ。そしてラディッシュの芽。右にある薄いオレンジ色はラディッシュ?冬瓜? 何だろう。
加水率高めの麺は、番手の違う太さの麺が数種類。と思ったら、太さが違うのは「手切り」だからだそうだ。基本的には細麺なのだけど、これがまた食感を変えてくれて、且つ、よくこの清湯スープを持ち上げてくれる。何より、麺自体が旨い。
そうして燻製を口に含むと、えも言われぬ芳香が鼻腔を満たしてくれる。魚の半身ををドンと燻製にするのではなく、一枚一枚を燻煙して香りと味をつけ、さらに充分に風乾もしているに違いない。使ったのは桜のチップと・・・この甘い香りは、ひょっとしたらリンゴもかも。
トッピングの中で最後に口にしたのは、やっぱりこれ「焼きマツタケ」。考えてみるとマツタケを口にするのは。この秋初めてかもしれない。魚介のスープに燻製と松茸の薫りが溶け込んで、もう堪りません。上品で、そして滋味深いとはこういうのを言うのだろう。
ドンジリに控えしは、「栗おこわのおにぎり」。これをわざと少し残したスープに入れて、オジヤのようにして食べるわけですな。これがまたもう堪りません。
1,500円というお値段では「これは安い!」、そう思わせるラーメン、というよりも「料理」だった。いつまでも食べていたい、飲んでいたい。そう思いながら完食の全汁。ともかくもそんな至高の一杯なのでした。
帰ろうとすると、河原氏がお客さん一人一人に頭を下げてらっしゃる。うーむ、さすが。こちらの方が頭が下がるというものだ。
塩哲さん、今回もどうもありがとうございました。
◆ラーメンダイニング 麺酒家 銀座五行
http://ramendining-gogyo.com/index.html
中央区銀座2-4-6 銀座Velvia館7F 最寄駅:銀座一丁目・銀座
月~水 11:00-16:00(15:30 LO) 17:00-24:00(23:00 LO)
木~土 11:00-16:00(15:30 LO) 17:00-翌3:00(翌2:00 LO)
日 11:00-16:00(15:30 LO) 17:00-22:30(22:00 LO) 無休
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