小さなラどん旅「母家@日の出町」
続いてC氏の案内で行ったのは、東京都日の出町。ここに珍しいうどん屋さんがあるというのだ。なんでも多摩地区から秩父にかけて「武蔵野うどん」とはまた少し違ったジャンルのうどんがあるという。C氏によると、「ずり出しうどん」というのがその代表で、釜揚げのような状態のうどんを「引きずり出して」食べるところから、その名がついたらしいとのこと。それはまた楽しみではないですか。
雨模様の中、八王子からいくつか山を越えてたどり着いてみると、おお、こんなところに。路地の奥に昔風の田舎家があって「母家」という暖簾がかかっている。
どこかで見たような佇(たたず)まいだ。そう、田舎の農家を改築して店にした、安曇野は穂高の「常念」や、有明の「くるまや」の雰囲気に実に似ている。(って、判る人には判りますね(^^;) そしてこのアプローチは「有明」のそれに良く似ている。
中に入ってみると、いっそうその感を強くした。家はふた回りほど小さいし、庭に築山や池があるわけではないけれど、店内は本当に「常念」によく似ている。引き戸を開けると三和土があって、そこが靴脱ぎになっている。右手には帳場というかお会計場所。そして左へ行くと二間ぶっ通しの座敷になっている。座敷の横には縁側というか廊下があって、長押には写真や表彰状などが掛かっている。
築後90年から経っている民家だそうだから、造作には多くの共通点があるのだろう。安曇野のそれはもっと古そうだけど、入り口から座敷に至る作りや店内の雰囲気は実によく似ている。
「ずり出しうどん 700円」
せっかくだから、このメニューにした。多摩・秩父地区にゆかりの一品だ。土鍋に茹で揚げられたうどん、中には昆布が一切れ入っている。うどんをお椀に引きずり出して、そば猪口のような容器に入った鰹節と醤油をかけて食べるのだそうだ。薬味にはキザミねぎと柚子の皮の粉末。
一口食べてみると、うんなるほど旨い。醤油はかけすぎない方がいいようだ。確かに一般的な武蔵野うどんのように太くもないし、ゴワッとするくらいの強いコシがあるのでもない。また讃岐のようなツルツル感があるわけでもない、でも、ちゃんと小麦粉(地粉)の風味がして「うどん」として美味しいのですね。
うどん好きがこうじて最近では自らうどんを打つようになってしまったC氏も、大納得の地粉うどんだったようだ。
「単品天ぷら 500円」
見てください。旨そうでしょう? サクサクに揚げられた旬の夏野菜がズラリ。たぶん自家製かあるいは近所の畑で穫れたものなんでしょう。ナスなんてみずみずしくて、思わず目を細めながら味わってしまった。
いやぁ、「みんみん」で大盛りを食べた後だというのに、またまた美味しく大満足の「母家」なのでした。
メニューは他に「ざるうどん」「豚つゆうどん」「鴨せいろ」「天ざるうどん」に、夏季限定の「冷汁うどん」「梅じそうどん」などがある。そして甘味として「母家だんご」「安倍川もち」なども。
八王子以上になかなか行かない場所かもしれないけれど、五日市方面にご用がありましたら、是非とも寄ってみてください。何よりもこの店が醸し出す「雰囲気」を味わって貰えればと思います。あ、営業時間が短いのでご注意。
もう腹一杯なので、今回のミニ旅はこの2軒で終わり。次はいつ、どこへ行きましょうかね。
◆母家
西多摩郡日の出町大久野990-4 最寄駅:武蔵五日市
11:00-14:30 (LO 14:15) 火曜・第2水曜休
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