« スタッドレスタイヤの安心感 | トップページ | さよなら「旭王@新橋」 »

2006.01.05

安曇野のお年取り

 先日「お年取り」について少し触れたところ、それはどういうものなんだ?という質問をいくつか頂いた。先日の記事と一部重複するところもあるけれど簡単に書いておくことにしたい。

 信州安曇野(大町・松本・塩尻を含む)には「お年取り」という儀式がある。(もしかすると信州全域 または もっと広い地域にもあるのかも。) 代わって「おせち料理」という習慣がないことは先日も書いたとおり。(注:文末参照)

 中高年以上の人たちの中には、大掃除なり年賀状書きなり、何かしら年内にやるべきことができない時に「お年取りができなくなってしまう」というような使い回しをすることがある。それくらい暮らしの中に入り込んでいる言葉でもあり大事な儀式でもある。

 「お年取り」とは、元々は年齢を数えで表していた頃の名残で、1月1日に一歳、齢を重ねる(年を取る)ことから来ているのだと思う。
 この地域で「お年取り」と言えば、大晦日に「年取り魚」の鰤(ぶり)をはじめとする年に一度のご馳走を並べ、家長が家族または親族全員に、一年の労をねぎらいつつ酒肴を振る舞うという習慣のことを言う。

060105tt02

 「年取り魚」または「正月の魚」は、関東以北では「鮭」が一般的だと思うけど、こちらでは西日本の影響を受けているというよりも、日本海が近いせいなのだろう。このお年取りから正月までの間は何かにつけ「鰤」である。刺身、塩焼き、煮付け、照り焼きなどで食べる他に、お雑煮のダシと具になるのはもちろん、みそ汁の具も鰤だったりする。それくらいこの時期には大活躍する魚だ。鰤が出世魚だということも縁起が良くて好まれる理由かも知れない。

060105tt01

 上の絵は、家内の里の「お年取り」の食卓の模様。総勢8人用。かくいう私は家内の里の「お年取り」しか知らないために、これが果たしてこの地域の平均的な「お年取り」なのかどうかはわからない。「鰤」は日本海から旬の寒鰤を直送して貰ったものだそうだから、ひょっとするとこれだけは結構贅沢なものなのかも知れない。

 安曇野または信州にご在住 または ご出身のかたで「ウチのお年取りは違うよ」とか、私がここで書いたことが間違ってるよとかがある場合には、是非コメント下さいまし。

◇2006.1.7訂正
 この記事の冒頭で安曇野には「代わって『おせち料理』という習慣がない」と書きましたが、同じ里のご近所様のブログには「おせち料理」が普通に登場していました。安曇野でも「おせち料理」の習慣は、それぞれの家によって違うようです。

| |

« スタッドレスタイヤの安心感 | トップページ | さよなら「旭王@新橋」 »

コメント

ブリづくしで贅沢ですね~。

ん?味噌汁の具もブリ?

投稿: xiao | 2006.01.05 17:06

 味噌汁にまでブリが入ることはそうそうないようですが、家内の里の場合は、ブリが余るとそうなります。

投稿: BUSH | 2006.01.06 09:52

諏訪の我が家でもお年取りの文化は生きてます
そして主役はやはり鰤
野菜と鰤の汁物がメイン、照り焼きにもなります
そしてお雑煮も鰤

今ならともかく内陸において昔は鰤が贅沢品だったのでしょうね

写真に野沢菜が写っているあたりがさすが信州
これも自家製ですか?

投稿: PROTO | 2006.01.06 10:09

 ども、PROTOさん。

 諏訪もですか。伊那谷は中川村にもあるそうですので、少なくとも中南信にはお年取りの風習があるようですね。

 あと、野沢菜はどんな料理だろうとこの時期は必ず出てきますね。はい、自家製です。

投稿: BUSH | 2006.01.07 09:46

伊那谷では、鰤は粕煮にします。おしたじは、今年の収穫した野菜を入れます。ごぼう、大根、ニンジン、里芋、豆腐を入れてしょうゆ仕立てです。感謝をこめて、先祖や神様にお供えしてから頂きます。元旦にはこのおしたじに、餅をいてて雑煮にします。箕輪町でも豊丘村でも同じです。

投稿: たか子 | 2009.01.04 19:59

 ども、たか子さん。

 伊那谷のお年取りはそんな感じですか。しかも箕輪村と遠く離れた豊岡村でも同じだという貴重なお話。
 今度その中間の、赤穂と中川村の様子を聞いてみますね。

 今年も安曇野での5日間、ずっとブリづくしでした。刺身に塩焼き、粕漬け、汁物にも入っているし、とにかくブリ、鰤、ぶり。さすがに飽きたかなっと(^^ゞ

 コメントありがとうございました。


投稿: BUSH | 2009.01.04 21:39

初めまして。昨年末に知り合いから、お年取りと言う言葉を教わり、とても暖かく、優しく感じ興味を持ち調べたところここにたどり着きました。山雅サポで月1は松本に通っています。ラーメンも好きなので、色々参考にさせて頂きます。

投稿: あゆみのママ | 2013.01.04 17:47

 ども、あゆみのママ さん。
 コメントありがとうございます。信州のかたなんでしょうか。

 お年取り。おっしゃるとおり「暖かく、優しく感じ」る言葉ですよね。実際家内の里のお年取りもそんな感じです。この年末年始も、同じように年取り魚のブリづくしで過ごしました。

 松本平、安曇野地区のラーメンネタは、年に数回行く時のみなので、もの足りないかもしれませんが、またナナメ読みにでも来て頂ければ幸いです。

 これを機会に宜しく御願いいたします。

 ちなみサッカーはヴエルディのファンでした。

投稿: BUSH | 2013.01.05 08:20

実は神奈川県です。娘が松田直樹が大好きで、マリノスから一緒に移籍し、サポですが…2011より松本に通っています。10年後にはもしかしたら、松本に引越していたりして。(笑)
よろしくお願いします。

投稿: あゆみのママ | 2013.01.07 08:04

 ども、あゆみのママ さん。

 神奈川でしたか。で松本まで通われているってのは凄いですね、お嬢さん。
 10年後といわず、本当に松本に引っ越していて、年末にはお年取りに呼んでくれるかも知れませんね(^o^)v

投稿: BUSH | 2013.01.09 02:29

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 安曇野のお年取り:

« スタッドレスタイヤの安心感 | トップページ | さよなら「旭王@新橋」 »